猫と、健康と、安心と。30年目の1階完結型リノベ。Recovery House
新耐震じゃなかった住まいを、健やかに暮らせる終の住処へ
✔️木造平屋建 | 延床面積197.93㎡
✔️耐震上部構造評点:1.0
利用補助金
✔️先進的窓リノベ補助金
✔️子育てエコホーム補助金
✔️さぬき市住宅リフォーム支援補助金
平成建築の新耐震基準の住まいだけど、地震で揺れるんです。
貴重な古墳が残る、古代から生活の場としての歴史を重ねている、さぬき市のどかな平野部にお住まいの六車さんご夫妻。
ご夫婦で内覧会にお見えになった際に、開口一番「平成建築の新耐震基準の住まいだけど、地震で揺れるんです。」
と切り出されました。
お二人とも60代を迎え、セカンドライフがはじまるタイミング。
30年前にご自身が建築した平成建築の2階建住宅を終のすみかとするべく、リノベーションを考え始めていましたが、阪神淡路大震災の時に大きく自宅が揺れた経験から耐震性に不安を抱いていました。
実際に、現地を訪れて床下や天井裏を確認したところ、新耐震基準では設置されているはずの柱と梁や土台を固定する金物が見当たらず、耐震診断をしてみると建築基準法で規定する耐震性能を有していないことが判りました。
法律改正の過渡期。新耐震で建築されなかった住宅。
耐震の話でよく耳にする「新耐震基準」という言葉。
昭和56年(1981年)6月に施行された建築基準法の改正による基準で、それ以前の「旧耐震基準」から耐震性が大幅に引き上げられました。
六車さんのご自宅は、この基準のもと平成6年(1994年)に新築されています。
・・・のはずが、どうして耐震基準を満たしていなかったのでしょう。
実は、
住宅を新築するためには、現在の法律の運用下では、住宅の耐震壁や筋交、金物といった耐震部材が組み上がったタイミングで、必ず「中間検査」という第三者のチェックが入ります。
しかし、この「中間検査」制度は、平成11年(1999年)の建築基準法改正のタイミングで導入されたもので、それ以前は基準は確立されていたものの、チェック対象外で基準を満たす耐震性能の担保は設計監理をする建築士に委ねられていました。
その結果、新耐震基準を満たさない住宅も建ってしまっており、平成28年(2016 年)に甚大な被害を出した熊本地震においても、70棟超の木造建築物に倒壊被害が出てしまいました。
六車邸のそんな過渡期の建物だったのです。
猫と、健康と、安心と。30年目の1階完結型リノベ。
不足している耐震性能を補強で補うことを前提に、リノベーションプランを検討を進めることになった六車邸。
良い機会なので、一から暮らしを見直そうと現在の家の困りごとや希望を伺うと、「猫がやんちゃしても大らかでいられるタフな空間」「健康に暮らせる素材選び」「老後の身体の変化も見越したプラン」という3つのキーワードが浮かび上がってきました。
*1階完結型リノベ
ご相談時は、リビングダイニングと水まわり以外は1階は続き間の仏間・応接用の和室のみで、寝室・収納は2階にあったので、将来的に1階だけで全ての生活が完結するように、和室1室と廊下を寝室とクローゼットにリニューアルした「1階完結型」のプランを提案しました。
*健康を守る住まいの断熱化
断熱材が一切入ってなかった住まいは「冬は足元が冷えて凍える」ほどでした。断熱されてない住まいでは入浴の際にヒートショックで亡くなる方も多く、実は香川県は人口1万人当たりの入浴時の死亡事故数が日本イチ。。。
無理のない予算の範囲で安心して健康的に住むために、1階に優先順位を置きつつ、2階建の住まい全体の温熱環境を全体的に見直しました。築30年ではあるものの、適切に維持管理されてきた住まいの外部はバルコニーをのぞいて健全だったので、断熱は基本的に内側から充填する計画にしたので、なるべく内部空間を広く取れるように、薄くても高性能なフェノールフォーム保温板で断熱をしました。
耐震金物の取り付けで大工さんが天井裏に上がることもあって、天井断熱は、1・2階共に全面的に敷きこみ、合わせて気密テープなどを使ってできる限りの気密化をしました。
一方で、窓は、1階は全て内窓で断熱化をしましたが、近々巣立つ予定の成人した2人の子ども達の部屋のある2階は、いずれ上がらなくなる可能性も考慮して断熱を見送りました。
*身体にやさしい“健康リノベ”
リビングの床材には、木材の気孔に遠赤外線を放出する鉱物を注入したリカバリー建材の「Ua Floors」を採用しました。
フローリングから放出される遠赤外線のぬくもりは、血行促進が促し、体温をアップさせるため、免疫力の底上げが期待できるそうです。なんとスリッパや靴を履いていても効果が発揮されるそう。人も、猫も長い時間を床に接して過ごすリビングだからこそ、健康を支えるリカバリー建材は効果的です。
また壁や天井には、調湿&消臭の機能がある珪藻土を塗りました。珪藻土のすぐれた調湿効果は、室内の湿度を快適に保ち、アレルギーの原因となるカビやダニの発生を抑制してくれるとともに、猫の体臭やトイレのアンモニア臭を強力に吸着し、優れた消臭効果を発揮します。
赤外線を放出するリカバリーフロアUa Floors
リビングの天井と壁が接する角っこは、丸く曲線にすることで、空間に柔らかさを演出しています。
また珪藻土には藁スサを特別に混ぜて塗ったもので、まるで動物の巣にいるような心地いい巣篭もり感でいっぱい。
*ペットフレンドリーな空間づくり
以前は、猫の爪とぎで襖や壁紙がボロボロになっていました。そこで、壁は爪とぎされてもへっちゃらな、木製パネリング材を2mの高さまで貼りました。多少いたづらされても大らかに構えて愛猫を愛でることができるペットフレンドリーなリビングです。
使い慣れているキッチンを踏襲しつつ、さらに使いやすさを追求した“神ってるキッチン”
長年使ってきたキッチンは、計画しては何度もシミ湯レーションを繰り返し、練り直して完成しました。
「リノベーションは空間が実際にそこにあるから、色々とリアリティのある妄想ができるところがいいですね!」と奥さま。
結果、当初は完全造作で考えていましたが、最終的にはメーカーキッチンに造作カウンター収納を付け足したハイブリッドタイプのキッチンとなりました。
造作したカウンターキャビネットは、ダイニング側からは小物やお薬、ハンカチなどの収納場所となり、キッチン側には調味料を入れるキッチンニッチと便利なキッチン用のコンセントがセットされています。
神ってる極め付けは、食洗機からの収納ポジション。食洗機から取り出したカトラリーとお皿は神ポジションによって一歩も動くことなく、収納ができてしまいます。
実はこれ、正直にいうと計画したわけじゃなく偶然が産んだ嬉しいポイントだったのですが、しわく堂の今後のキッチン設計にも活かせるとても良い事例となりました。皆さんもぜひ、マネしてみてください。
ぜんぶ、好きなものにする
お話を伺うなかで、奥さまは好きな空間のテイストや素材感がはっきりとしていることがわかりました。
そこで、インテリアづくりは、現場に入ってからもたくさんお話を伺いながら、バラエティ豊かなデザインを提案し、方針が決まったら、好きなものを選んでもらって、全体をしわく堂がコーディネートする方法で進めていきましました。現場が進むにつれて、どんどん好きなものに囲まれていくライブ感がたまりません。
収納は塗装で化粧直しを。
リノベ前は焦茶色だった玄関に面したドアや靴箱。最後まで取り替えようか悩んでいましたが、コストもかかるので塗り替えてイメチェンするのはどうかとご提案。結果、ペールブルーのペンキを塗って、好きなデザインの取手をつけて、天板も上から貼り直すと、大好きなものに大変身しました。
トイレはアクセント壁紙を貼ることや、特徴的な灯りのペンダントライトで照らされた居心地の良い空間をおすすめ。壁紙やペンダントライトは奥さまにセレクトしてもらいました。
しわく堂のDIYサポートで、憧れのDIYにチャレンジ
当初より「DIYに興味があって、タイルを自分で貼ってみたい」と仰っていた奥さま。
しわく堂では希望されるお客さまに、DIYで扱いやすい材料セレクトや、工法レクチャー、道具の貸し出しなどのDIYサポートを提供していて、今回は、奥さまが自身の手でキッチンと洗面台のタイルを貼りました。
出来栄えはいかがでしょうか?
これからを見据えた、60代からのリノベーション。
まだまだ現役で働くアクティブシニアのご夫婦。一方で、60代からの住まいのリノベーションは、将来的やってくる身体の変化を見据えておく必要があります。
階段は緩い階段にかけかて、2階は断熱と階段掛け替えによる階段ホールの補修に留めていて、コストに対して優先順位を設けてリノベーションしました。、
撮影の際に、
「冬も快適でした。内窓を開けると冷気がすごくて、効果を実感しました。」
「階段がゆるくて、当初は1階に作った寝室で寝ようと思っていたけれど、当面は2階で寝ることにして、じいちゃんが泊まる際の部屋にしました。」
「キッチンカウンターの高さや、スパイスニッチが絶妙に便利で感動」
など嬉しい住まいぶりのお話を色々と伺うことができました。
失敗談といえば、「ウォークインクローゼットの照明を人感センサーにすれば良かったかなと思ったくらい。屋外用の人感スポットで対応してます」ということで、次回以降の家づくりに経験を活かしたいと思います。
快く取材させてくださって、ありがとうございました!
OUTLINE
| PJ title | Recovery House |
|---|---|
| Place | さぬき市 |
| Building type | 個人邸 | 木造2階建 | 延床面積197.93㎡ |
| Complete | 2025.12 |
| Director | 平宅正人 |
| Designer | 平宅正人、入谷洋平 |
| Construction | 彩工舎 |
| Photo | 谷口ひさえ |



