家族時間とひとり時間を両立させる杜のNEST ROBE
はじめての出会いは、地元人気イベント「暮らしの遊園地」でした
Kさんご夫婦とのはじめての出会いは、香川県三豊市人気のイベント「暮らしの遊園地」でした。暮らしの遊園地は、地元工務店、飲食店、作家さんのことを、多くの地元の方々に楽しみながら知ってもらう株式会社喜田建材さん主催のイベントです。しわく堂からは、“暮らしのテクノロジーを学ぶ”をテーマに出店。イベントにはご夫婦で来場され、結婚を機に、海を堪能しながら自然を感じれる家を建てたいと相談を受けました。
(イベント出店内容:https://shiwakudo.com/works/works/entry-37.html)
まずは土地探しからスタート。2年の月日を経てようやく出会えたのが、七宝山とみかん畑を借景とした、鎮守の杜まで散歩して行ける土地でした。海は見えないが、暮らしのなかで常に自然を感じれる場所が見つかりました。
理想の土地も見つかり、いよいよ設計へ。当初は歴史あるハウスメーカーと地元工務店と悩んでいたKさん。しわく堂では、日々の暮らしを細かくヒアリングし、住まいのコンセプトから提案。自分たちの暮らしにあった、オリジナリティある提案に賛同して頂き、しわく堂での設計が決まりました。
家族時間を楽しむ広場と、ひとり時間を楽しむ巣篭もり空間
新しい家に住むのは、ご夫婦と工事中に産まれた0歳のお子さんの3人家族。
Kさんご夫婦が日々の暮らしのなかで大切にしているのは、ひとりひとりの時間。旦那さんと奥さん、それぞれに必要な時間があり、お互い自分の時間を尊重し合うことで家族の時間もゆとりをもって過ごすことが出来ると考え、プランニング。家族みんなで過ごす広場と、個々の巣空間をつくりました。
玄関ドアを開くと奥には、みかん畑と七宝山を借景とした広場があります。ここでは、オープンなキッチンで家族や友人と団欒したり、大きなダイニングテーブルで夫婦共に仕事をして過ごします。
広場から、小さな入り口をもぐるように入ると、それぞれの巣が。天井は2m20cmとり、圧迫感のない程度に低くすることで落ち着いた篭り感をだしています。そこではオンライン飲み会や読書、音楽、映画などひとりの時間を楽しみます。
模様替えをしながら居場所をつくっていく、ノマド読書人の暮らし
読書家の奥さん。その日の気候、読んでいる本、時間帯など、その時の気分に合わせて好きなところで読書を楽しみます。この家では、あえて読書スペースとして場所をつくらず、暮らしながらお気に入りの場所を探します。
好きなアンティーク雑貨や本が並べられた造作棚の前、料理の香り漂うキッチン作業台、雨の日の窓際、ぽかぽかと日があたるウッドデッキ。季節や生活音を感じながら、本を読みふけます。人が行き来するポーチの上以外は雨樋をつけず、あえて軒先から雨水が滝のように流れるように。自然を感じられる仕掛けを散りばめています。
灯りは欲しい時、欲しい場所に。リビングの天井にライティングレールをつけ、必要になったら照明を付け足します。フロアランプを使えば手元だけを照らせるため、落ち着いた雰囲気で読書を楽しめます。
料理のプロセスを大切に。作業台が中心のキッチン
料理を家事として捉えず、コミュニケーションのひとつとして考えているKさんご夫婦。料理をする過程から共に楽しみます。
壁付けのキッチンにアイランド型の作業台。作業台では料理をするのはもちろん、ハイチェアーを置くとダイニングテーブルとしても使えるので、会話を楽しみながら料理が出来ます。週末は、旦那さんの入れたコーヒーの香りが目の前で漂います。
夫婦で料理をすることもあるため、キッチンと作業台の通路は1mとりました。友人を招いた際には、回遊性よくオープンな作業台にしているため、みんなで料理をしながら会話が弾みます。住み始めて、揚げ物スタンドをしたというKさん。みんなでアツアツの牡蠣を揚げて堪能。プロセスを楽しむKさんご夫婦のスタイルだからこそ作業台のあるキッチンが出来ました。
キッチンの奥には、見た目がかわいらしい包丁刺しやまな板が。奥行きは70cmあるので、小物があってもまな板を置くには十分です。オークの突き板をまわした面材の上には、1.5mmのステンレスをのせ、軽く、馴染みやすいデザインにしました。
コミュニケーションをとりながら仕事する。ダイニングにつくるワークスペース
同じ職場に勤めているKさんご夫婦。新型コロナウイルスの流行にともない、リモートワークが増えてきました。家での仕事は、コミュニケーションをとりながら一緒にしているとのこと。広場には、幅3m近くある、ゆったりとしたダイニングテーブルなので、対面で互い違いにパソコンを置いていても食事が出来ます。
テーブルの中央の穴を通して、テーブルの下に設置された床下コンセントから電源をとるので、絡みやすい配線をまとめることでストレスを軽減しています。
共働き夫婦のミニマル洗濯動線
夫婦共働きのため、家事の時間をできる限り短縮に。洗面脱衣所に洗濯機、乾燥機、部屋干し出来るハンガーパイプを設置。脱衣所で脱がれた衣類の洗濯・乾燥までがこの部屋で完了します。すぐ隣にはウォークインクローゼットがあるため、洗濯物が広場に出てくることがありません。
森の巣で暮らすように、自然素材にこだわった家
周辺の植栽と馴染む様に土の色をイメージして塗られた芥子色の外壁に、光を反射しやすく、天気で明るさが変化するシルバーのガルバリウム合板の屋根をのせ地面に這うような外観のデザインにしました。
敷地からは、石畳のアプローチがくねくねと敷かれています。苔の目地が入り、雨の日には森林にいるかのようなしっとりとした雰囲気に。森を散策するように玄関まで誘導します。
玄関では、ナラ材のオリジナルの扉がお出迎え。ナラ材をナナメに貼り、遊びゴコロとダイナミックさをプラス。Kさんの優美さと雄邁さをイメージしています。
リビング、ダイニングの広場では、シナベニヤを天井に貼り、木目を主張せずに木の柔らかい雰囲気をだしてくれます。床と壁は玄関ホールから続くようにナラ材と和紙を貼り、もともとお持ちのアンティーク家具を引き立たせ、全体的に温かみと清楚感ある雰囲気にまとめました。
自然素材の仕上げ、色にこだわった、森にいるかのようなKさんの住まいがあります。
OUTLINE
PJ title | 杜のNEST ROBE |
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Place | 香川県三豊市 |
Building type | 個人住宅 | 木造平屋建 | 125.20㎡ |
Complete | 2021.12 |
Director | 関 大樹 |
Designer | 関 大樹 |
Construction | 彩工舎 |
Photo | 関 大樹 |