毎日のことだから、見晴らしよく、気持ちよく。柔々居
海風薫る臨海部で送る、両親との近居生活。
海風薫る観音寺市の埋め立て地に位置する臨海部。
ご夫婦と中学生の長女、小学生の長男の4人が暮らす家です。
隣には岡田さんが生まれ育った実家があり、岡田家は小さい頃から柔道一家。
今でも夫・裕治さんは子ども達も通う柔道クラブのコーチをしています。
これまで隣の実家で祖父母と同居をしていた岡田さん一家は、予てから購入していた隣地に家を構えて近居生活をはじめるとのことで、家づくりはスタートしました。
岡田家の住まいが立つエリアは、埋め立て開発によって整然と区画割された町で、すでに周囲は2階建の住宅が立ち並んでいて1階レベルではプライバシーを気にせずに開放的に住まうことが難しい場所でした。
その一方で、2階レベルは北側近傍の港を往来する船を見ることができます。
そこで、夫婦が最も長い時間を過ごすリビングと主寝室を2階につくり、南北の両方の窓を幅いっぱいに大きな窓を開けました。
プランは1階を玄関、子ども部屋と水まわりをコンパクトにまとめ、最大限2階の床を大きく取るようにオーバーハングさせています。
これによって、玄関まわりはプライバシーの観点から周囲に閉じつつも、軒の深いゆったりとしたアプローチを構えることができました。
太陽をいっぱいに浴びる、見晴らしのいい住まい。
「キッチンとリビングの窓を開けると、風が通って気持ちいいんや」
と嬉しそうに話す奥さん。
港での連絡船の出入りが見える2階リビングは、通りからの視線を気にせずに開け放てる窓からはいる心地よいお天道さまの日差しで部屋中が満たされ、風が通り抜け、まるで展望台のようです。
柔道一家のリビングは、慣れ親しんだ畳がいいよね。
当初は全面フローリングで計画していた岡田さんですが、あるひ「やっぱり畳で寝転がるのが好きなんよね。」と裕治さんがぽつり。
これまで実家での夫婦の寝床も畳間に布団で過ごしてきたこともあり、慣れ親しんだ暮らしが一番とのこと。
そこで主寝室につながるリビングの一角を、畳敷きにしました。
青々とした天然のい草の香りが部屋いっぱいに広がり、家族の誰もが日向ぼっこを楽しみながら思わずゴロンと寝転がってしまう気持ちのいい場所です。
リビングと夫婦の寝室を仕切る障子戸は引き込むことができるようになっていて、日中は開け放つことで13.5畳の広々とした畳リビングになります。寝転んだ家族を包み込むように、天井は優しい表情のシナベニヤを張った緩やかにライズしたボールト天井にしました。
食べ盛りを支える母ちゃんのためのキッチン
柔道一家の岡田家は、子ども達も食べ盛りで毎食一升のご飯を平らげるほどで、大盛りの料理を作っても十分に作業できる大きなキッチンが必要です。汚れを気にせずガシガシ支える人工大理石のL型のワークトップは幅いっぱいの4.5mの長さで、様々な調理器具を並べても盛り付けだって十分できるようにしています。
料理は毎日のことだから、気持ちいい環境でしたいもの。キッチンの目の前いっぱいの窓からは観音寺港を臨むことができ、伊吹島への定期船“ニューいぶき”がの往来を眺めながら、料理を楽しむことができます。
はじめての部屋づくり。子ども達がチャレンジした自分でつくるインテリアコーディネート。
子ども達も小学生、中学生ともなると自身の好みもはっきりとしてきます。
そこでサポートしながら壁紙からベッドリネン、カーテンに到るまでを子ども達に決めてもらいました。
淡い水色が好きなお姉ちゃんは、くすみカラーの水色を基調に壁の上下で壁紙を貼り分けて可愛い女子部屋に。
一方で、弟の照英くんはシックなグレーが好きとのことで壁全面をムラのあるグレーの壁紙を貼った大人っぽい雰囲気の部屋になりました。2人とも好みもずいぶん違って個性のある部屋になりました。
朝でも夜でも。いつ入っても気持ちがいいバスルーム。
警備関係のお仕事をされている裕治さんは、夜勤明けの早朝に帰宅して入浴することも多いため、浴室は朝に入っても気持ちのいい場所にしたいと思い、当初はユニットバスで検討していましたが、最終的にはインテリアにこだわれる在来工法でつくることにしました。
清潔感とスタイリッシュな雰囲気をもった場所にしようと、洗面室と合わせてデザインし、黒やグレーと木のナチュラルなカラーが馴染む空間をイメージしています。
浴槽ははめ込み型の浴槽を採用して、床と壁にタイルを貼り、天井は無垢の桧材で仕上げています。
シャワーのつく壁はヘリンボーン貼りのタイルをアクセントにあしらって、そのほかは桧の色が映えるウォームグレーのタイルをセレクトしています。
朝入っても、もちろん夜に入っても気持ちのいい、スタイリッシュなバスルームです。
OUTLINE
PJ title | 柔々居 |
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Place | 香川県観音寺市 |
Building type | 個人邸 | 木造2階建 | 延床面積 91.94㎡ |
Complete | 2022.4 |
Director | 平宅正人 |
Designer | 平宅正人 |
Construction | 彩工舎 |
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