千秋万古、刻む時KAYARU
三豊市三野町、山条山(やまじょうやま)の麓、池の側の細道を降りた所に高木さんのお家はあります。
築100年を越えるトタン茅葺の平屋住宅は長い歴史のなかで自然と一体となったかのようにそっと佇んでいます。
高木さん家族は、ご夫婦と男の子の3人暮らし。古民家に憧れ、何軒もの物件を内覧していくうちに出会ったのが、この住宅。
建物の状態を見て一度は諦めかけた事もありましたが、やはり茅葺きへの思いは強く、リノベーションを決意しました。
息を吹き返した茅葺き屋根
改修や修理が繰り返され、高木さんが購入した時には茅葺が天井で塞がれ、その姿は物置からチラッと見える程度でした。かつては藍染めの工房として使われていた時代もあったのだとか。
今回の改修では、玄関土間を建築当時の広さに戻し、天井は取り払い、茅葺を現しにしました。
遊具を置いても充分すぎる広さ。
新たに設けた北側の窓からは優しい光と心地よい風が土間全体を駆け巡ります。
リノベのメリハリ
玄関土間から直接入るLDKは元々畳敷きの二間続き。
床組は補強を行い、断熱材を施工しクルミの無垢フローリング貼りに。壁は土壁をそのまま残し柱や梁もそのままです。
天井は天井板を撤去すると建築当時の茅が現れました。
古民家の天敵である床下からの隙間風・底冷えを解消し、残せる場所は残す、メリハリが大事。
キッチンには、調味料やお気に入りの食器類が丁寧に並びます。
一味違う、水回り。
もともと物置部屋だった場所にお風呂、洗面室、トイレを配置。
インテリアは奥様の好みをギュッと詰め込み、輸入クロスに張り替えました。
他の空間とは一線を画すかの様な空間。しかしながら、不思議と違和感を感じず、心地よいインパクト。奥様のセンスが光ります。
この一手間が大事です。
寝室は元の和室の畳替えを行いました。畳をめくり、床板と壁の隙間は気密テープでしっかり隙間風からガード。
この一手間でグンと快適になります。
長い長い年月の中でたくさんの変化をしてきた高木さんのお家。これからは高木さん家族の時を刻む番です。
OUTLINE
PJ title | KAYARU |
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Place | 香川県三豊市 |
Building type | 個人邸|木造平屋建|延床面積151.99㎡ |
Complete | 2022.04 |
Director | 関 大樹 |
Designer | 入谷 洋平 |
Construction | しわく堂 |
Photo | 合同会社Fizm(藤岡 優) |