オリエンタルな⾒晴台NukkuNap
東京からご実家へ。ご家族の暮らしに沿った形へリノベーション
廣田家はご夫婦とお子さん2人の4人家族。
東京からのUターンを機に、旦那様のご両親と2世帯での生活を見据えて、実家の2階部分のリノベーションを検討されていました。
実家は坂出市の、のどかな田園地帯に建つ日本家屋の木造2階建て。
2階にあがると、四方に香川県独特のおむすびの形をした山が望める見晴らし台のような気持ち良さです。
香川が初めての奥様にとっては、実家の2階から見えるおむすび山の景色はとても新鮮に映ったようです。
この窓から見える景色から、廣田さんの暮らしづくりが始まりました。
玄関はもちろん、キッチン、お風呂などの水回りも1階で両親と共有する廣田さんの生活スタイルの中で、2階は完全な廣田さん家族のプライベートスペース。
見晴らしの良い窓を最大限いかして、窓のそばにそれぞれの居場所をつくっていきました。
2階の限られたスペースを扉のないワンルームのように用途に合わせてゆるくつないでいきました。
子育てに仕事に忙しい毎日に2階へあがるとほっとくつろげるように空間でスイッチできる、そんな場所を目指しました。
ヌックナップは、こじんまりしたお篭り空間を意味する「ヌック」とお昼寝を意味する「ナップ」を組み合わせた造語です。
1階から2階へ。モロッコへと続く入り口
モロカンスタイルのインテリアが好みだった奥様。
モロカンスタイルは、東洋と西洋の相反する文化が融合されたスタイルで、廣田さんの暮らしにもぴったりでした。そんなモロカンスタイルから暮らしのイメージを拡げていきました。
和風玄関を抜けて階段を登ってゆくと1階からガラリと雰囲気が変わります。奥様お気に入りのモロッコのペンダントライトがモロカンスタイルの世界へいざないます。
側面の壁は、左官した上から磨きをかける特別な工法で仕上げ、モザイクガラスから漏れる光を優しく反射します。
登りきったところには、腰の高さの扉を造作。 両階をゆるやかに仕切りながら冷房の冷気が下に流れてしまうのを防いだり、子ども達の落下防止柵としても機能します。腰壁の高さに合わせて使わない時はスッキリ。
モロッコが散りばめられた見晴らしのいい高台
リビングは家族が集いながら思い思いにまったりできる空間。
大きく開かれた窓からは光や風が入り込み、飴色の梁が支える高天井は気持ちの良い開放感を与えてくれます。
南面の窓は大きな窓へ変更し、窓の高さ近くまで底上げされたソファ席は、外への広がりをより強めてくれます。
広々としたソファでごろりと寝転がると窓からは空が望め、雲がゆっくりと流れます。
このソファに寝転びながら本を読むのが奥様のお気に入り。
異国を思わせる観葉植物や、さし色の赤が入った幾何学模様のラグなど、そこここにモロッコの表情が散りばめられています。
ソファ下には読みかけの本やゲーム機を収納して、ちょっとしたスペースもフル活用。コンセントも内蔵されており収納しながらの充電もバッチリです。
アーチを抜けるとそこは秘密基地
リビング横の小さなアーチの奥は、1階の小屋裏を活用した子どもの秘密基地。
三角屋根の下に敷き詰められたカーペットに寝転んで絵本を読んだり、ホワイトボードの壁いっぱいにお絵描きを楽しむこともできます。
大人はその様子をうかがいながらソファでくつろぎタイム。
子どもが成長したら収納部屋としても機能します。
一味違う空気感を楽しむ夜のリビング
夜は落ち着いた雰囲気で過ごしたいと話されていた廣田さんご夫婦。
柔らかな間接照明の光でゆったりとした時間の流れる空間を演出。
読書など少し手元を明るくしたいときは、手動で動かせるブラケットライトの灯が照らしてくれます。
テレビを置かない廣田様の住まいはプロジェクターが大活躍。
備え付けのプロジェクターで真っ白な壁に映像を映し出すと、映画館の開演です。
ミュージックビデオを流したり、大画面でゲームしたり…長い夜は更けてゆきます。
眠たくなったらそのままゆるやかにつながる奥の寝室スペースへ。
織り交ぜた和でくつろぐ寝室
カーテンで仕切られた寝室スペースでは床と天井の距離を縮めた空間でほどよい巣ごもり感を味わいながら、家族で川の字になって眠ります。
東側の窓には障子をご提案し、モロカンスタイルの中に和の要素をミックス。
障子を通した優しい朝日で気持ちよく目を覚まします。
おしゃれも便利も詰め込んだ2階の洗面台
リビングの一角にはモロッコの街角をイメージした漆喰塗り収納付きの洗面台を造作しました。
グリーンのクラフトタイルがアクセントに。顔を洗ったり、歯磨きをしたりはもちろん、ミニキッチンとしての役割も。一階まで行かなくても2階で完結できます。
機能性を持ちながらしっかりインテリアのポイントになっています。
路地奥の濃厚なトイレ
アーチをくぐって廊下の奥へ。奥へ入り込むほど濃厚な世界が広がるモロッコの路地をイメージして、奥にあるトイレはとことん濃厚に。
ゴールドの下地に植物のグリーンの輸入クロスをベースに、あえて反対色の朱色の壁に、濃紺の天井、床もクラフトタイルを貼っています。お気に入りの空間の一つになりました。
昼と夜で使い分け。大人の巣篭もり空間
廊下の一番奥に位置するのはご夫婦の書斎。
文豪部屋と名付けたこちらの空間は旦那様の大好きな本をぎっしり並べられるように壁一面本棚を作りました。
日中は奥さんがリモートワーク。顔をあげると窓越しにみえる景色に癒されます。
振り返れば背丈を超える本棚があり、夜はしっとりした照明で大好きな本に囲まれながら読書を楽しみます。
お子さんの作品や家族写真が並ぶ有孔ボードに、これから廣田さんご家族のどんな思い出が増えてゆくのか楽しみです。
OUTLINE
PJ title | NukkuNap |
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Place | 香川県坂出市 |
Building type | 個人邸 | 木造二階建 | 延床面積 136.46㎡(内2階部分 38.33㎡) |
Complete | 2023.03 |
Director | 平宅正人 |
Designer | 辻ひとみ |
Construction | 入江木材 |
Photo | 藤岡優 |