街道沿いのエキセントリック・ニッポンやっつぉ
歴史ある街並みの一角から始まる新たなドラマ
開発の進む香川県高松市の郊外エリアの中でも、昔と変わらない田園風景や伝統的なやつおの家が残る金毘羅街道沿いに、今回の舞台となる角田さんの住まいはあります。
企業勤めをしながら、休日はトライアスロンに参加するなどアウトドアが大好きな角田さんご主人。
主に在宅ワークで働く奥さんと、育ち盛りで元気いっぱいの息子さんが暮らしています。
子育てに仕事に忙しい中角田さんが単身赴任で長く家を空けることもあるため、今後の生活スタイルを考慮して、実家での生活を考え始めました。
角田さんの実家も立派なやつおの家。ご主人さんが幼少期を過ごされた思い入れのある建物で、隣にはご両親も住まわれています。
しかし昔ながらの伝統的な間取りでは、収納面や動線など現在の生活スタイルとズレが生じていました。
そこで1階部分はほぼスケルトンにして大胆なリノベーションを検討。
角田家にぴったりな住まいづくりのお手伝いが始まりました。
どこか懐かしさの漂うリノベーションプラン
隣りにご両親の家がある木造2階建ての日本家屋。
しわく堂は、昭和の味わいが残るリノベーションプランをご提案しました。
素朴な肌触りの畳や、床の間を前に大きな食卓を囲んで団欒を楽しめる、そんなLDKを中心に各部屋の計画を膨らませていきました。
駐車場から遠回りする所にあった玄関の位置を変更するなど、機能面も改善。
既存の外観に馴染ませながら庇も造作し、新しい家の顔が完成しました。
1階部分はほぼスケルトンにして耐震面もしっかりチェック。
安心して末永い暮らしが送れる住まいにレベルアップさせていきます。
ターコイズ・ブルーの上で織り混ざる無国籍な文化たち
デザイン計画において角田さんからいただいたテーマは「外国人が誤って認識した日本文化」。
元々もつ日本家屋の味わいをベースにかけ算の提案をしました。
飴色に変化した天井や柱、職人の技の光る欄間や、建具などベースとなる和の味わい。
そこにアジアや南米を感じさせる色や、ヨーロッパの柄物の輸入クロスなどをミックスしていきます。
リビングに入ると目の覚めるようなターコイズ・ブルーが広がります。
様々な色やマテリアルをミックスしていくからこそ全体バランスが大切です。
元々の建物のもつ落ち着いた建具に、アートやポップな雑貨がアクセントとして彩りを与えてます。
集って囲んで賑わう団欒
普段からお客様が多い角田家。
親族や友人など10人以上の来客があっても、畳リビングはフレキシブルに対応できます。
お祭りの時は獅子舞を招いて家の中で踊ってもらうことも。そんな時は机を掘り炬燵にはめ込んで、広い座敷にすることもできます。
テーブルは人が集う機会の多い角田家にぴったりなものを造作。
真ん中にタイルが埋め込まれているため、熱い鍋を置いても跡がつかず、こぼれてもさっと拭けます。
リビングの隣は旦那さんの部屋。
来客室としても活躍したり、逆にリビングに来客がある時はさっと閉じて隠したり、襖で使い方は自由自在。
お客さんを招いてテーブルを囲む団欒がより楽しくなるリビングになりました。
キッチンは一緒に料理をするご夫婦が並べるよう、広めの通路で設計。アイランド型のため両側から作業したり、大人数で囲むことも可能。頭上にはステンドグラスのペンダントライトが輝きます。
奥には台所と書斎を区切る磨りガラスが。家のあちこちにいながら、お互いの気配を感じることができます。
夜は間接照明でゆったりとした時間を。 ライトアップされた欄間がより華やかさをプラスしてくれます。
気分は文豪?!おこもり書斎で集中ワーク
フリーランスとして働く奥様は、在宅ワークが主なお仕事。
子育てと仕事が両立できるように、奥様の書斎を確保しました。
デザインは女性文豪家の書斎というイメージから展開していきました。
元々玄関だった段差を利用した掘り炬燵や畳の部屋に、ポップな色や北欧をミックス。
ゆったり腰掛けると、外からの光が気持ちよく差し込みます。
玄関の靴箱の引き戸は、旧家の建具を再利用。
アウトドア好きな旦那さんのグッズや、お子様のおもちゃもたっぷり収納できます。
玄関と洗面の間には家族みんなのウォークインクローゼットが。
洗面所からそのまま服を着て出かける動線もスムーズで、機能面も抜群です。
ステンドグラスの灯を落とす大人な雰囲気の洗面所や、寝室はグリーン、トイレは赤色でシックに仕上げ、ゆっくりとした自分時間を大切にできる空間になりました。
天気の良い日は縁側で日向ぼっこ。
角田さんらしい時間が流れる住まいになりました。
OUTLINE
PJ title | やっつぉ |
---|---|
Place | 香川県高松市 |
Building type | 個人邸 | 木造二階建 | 延床面積142.16㎡(内1階部分98.5㎡) |
Complete | 2023.05 |
Director | 平宅正人 |
Designer | 辻ひとみ |
Construction | 山口工務店 |
Photo | 藤岡優 |